日程:2021年9月24日(金) 開催時間:19時〜(1時間程度を予定しています)
会場:YOUTUBE LIVE ※今回はYOUTUBE LIVEでの配信のみとなります。
料金:無料 ゲストスピーカー:
田原崇雄さん(田原陶兵衛窯・萩焼深川窯振興協議会 副会長)
坂倉正紘さん(坂倉新兵衛窯・萩焼深川窯振興協議会 会長)
聞き手:木村隼斗さん(長門湯本温泉まち株式会社)
視聴方法:下記のURLよりご視聴ください。(予約や申請は必要ありません)
https://youtu.be/JGktdl-3ahU
プロフィール
田原陶兵衛工房・田原崇雄(たはら たかお)
1982年山口県長門市生まれ。2007年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。横浜美術短期大学にて非常勤助手として勤務し、’10年美濃の陶芸家・豊場惺也氏に師事。’11年より父13代田原陶兵衛に師事する。’20年日本陶磁協会現代陶芸奨励賞 受賞。現在 日本工芸会正会員
坂倉新兵衛窯・坂倉正紘(さかくら まさひろ)
1983年、山口県長門市生まれ。2007年に東京藝術大学彫刻科を卒業し、’09年に同大学大学院彫刻専攻修了。その後、京都市伝統産業技術者研修で2年間、陶芸の技術を学んだ後、’11年に父である15代坂倉新兵衛の下で作陶の道に入る
木村 隼斗(きむら よしと)
2007年経済産業省入省。原子力被災者支援、自動車産業戦略、サイバーセキュリティなどを担当。2015年から3年間、地方創生人材支援制度により長門市役所に勤務、経済観光部長を務め、長門湯本温泉観光まちづくりを推進。2019年経済産業省を退職、2020年から長門湯本温泉のエリアマネージャー。
萩焼と温泉街の歴史
山口県長門市深川湯本には、約370年の歴史をもつ萩焼の窯元集落「三ノ瀬」があります。萩焼は16世紀末、毛利輝元公が朝鮮陶工を招いたことに始まり、茶道の世界で「一楽・二萩・三唐津」と称されるほど古くから愛されてきました。隣り合う長門湯本温泉も600年の歴史を誇りますが、長い歴史を持ちながらも、萩焼と温泉が一緒に何かをつくり上げる機会は、これまでほとんどありませんでした。
その転機となったのが2016年の温泉街マスタープランです。「文化体験」を温泉街の核に据える構想の中で、深川萩が地域を代表する文化として位置づけられました。旅館と窯元の若い世代が歩み寄り、ギャラリーカフェの運営を通じて対話と信頼を育み始めたのです。
「うつわの秋」のはじまり
2020年、新型コロナ禍で旅館も作家も活動の場を失った時期に、萩焼作家から「温泉街で萩焼を見てもらう機会を」との声が上がりました。これをきっかけに誕生したのが「うつわの秋」です。深川萩の全ての窯元と作家が一堂に会し、温泉街の中心・恩湯休憩室で展示を行うという、歴史上初めての試みでした。
「うつわの秋」は単なる展示会ではありません。旅人はカフェや宿で萩焼に触れ、やがて窯元を訪ねる。地域の人は日常に器を取り入れながら、お気に入りを探す。旅館スタッフも作家から学び、その経験を日々のおもてなしに生かしています。器を通じて、旅人・暮らす人・働く人が交わり、日常と旅が自然に結びつき、この場所ならではの体験が育まれていきます。
未来へつなぐ文化体験
かつて茶道が生活に根付いていた時代、人々は器を通じて文化に親しみました。現代ではその習慣は薄れましたが、代わりに「どんな人が、どんな場所でつくられたものか」に価値を見出す人が増えています。温泉地もまた、画一的な非日常ではなく、その土地ならではの文化体験を求める旅人が増えています。「うつわの秋」は、そうした新しい旅のかたちに応える営みでもあります。
伝統をただ守るのではなく、時代に合わせて表現を創造し続けること。その営みのひとつの姿が「うつわの秋」です。器を手にとり、触れ、使う。その体験が地域の文化を未来へとつなぎ、長門湯本温泉の秋を彩っていきます。