うつわの秋2026〜オープニングセレモニー&各会場レポート〜

「うつわの秋2026」オープニングセレモニーがひらかれました

秋晴れのもと、まちの番台の前で記念撮影する、うつわの秋2026 オープニングセレモニーの出席者

2026年10月2日(金)13時、恩湯にて「うつわの秋2026」のオープニングセレモニーがひらかれました。

気持ちのよい秋晴れとなった長門湯本温泉で、今年も「うつわの秋」が幕を開けました。
7回目を迎える今年のテーマは「茶菓一服」。
萩焼深川窯の作家たちが顔をそろえ、うつわと和菓子とともに歩く、秋のひと月がはじまりました。

開会にあたり、長門の作家を代表して挨拶する十三代 田原陶兵衛氏(うつわの秋2026 オープニングセレモニー)

司会は、共同主催の長門湯本温泉まち株式会社 木村隼斗エリアマネージャーが務めました。

開会にあたり、長門の作家を代表して十三代 田原陶兵衛氏にご挨拶いただきました。田原氏は、うつわの秋が旅館や湯本温泉の若い人たちの意見から始まり、今年で7回目を迎えたことにふれ、今年は「茶菓一服」をテーマに、お茶とお菓子を楽しむためのうつわを中心に展示していると紹介しました。

来賓を代表して挨拶する長門市長 江原達也氏(うつわの秋2026 オープニングセレモニー)

続いて、来賓を代表して長門市長 江原達也氏にご挨拶いただきました。江原市長は、令和2年に始まったうつわの秋が、回を重ねるごとに長門湯本温泉の秋の風物詩として定着してきたと述べ、うつわ、お茶、和菓子との出会いを通して、訪れる方に特別な時間を過ごしてほしいと語りました。

このほか、ご来賓として、長門市教育委員会 教育長 伊藤充哉氏、大寧寺 住職 蔵重宏昭氏、長門市観光コンベンション協会 副会長 岡藤智加子氏、湯本温泉旅館協同組合 相談役 大谷峰一氏にお越しいただきました。

今年のテーマ「茶菓一服」について話す、萩焼深川窯振興協議会 会長 坂倉新兵衛氏

続いて、萩焼深川窯振興協議会 会長の坂倉新兵衛氏より、今年のテーマ「茶菓一服」について紹介がありました。萩焼深川窯はもともと茶の湯とのつながりが深い焼き物です。近年、日本の抹茶やお茶の文化が世界中で親しまれていることから、この土地で深川萩のうつわを使い、一服を楽しんでほしいという思いを込めたと話しました。
今年は和菓子作家 一方隅冴氏を迎え、一方隅氏が会期に先立って深川萩の5つの窯を訪ね、それぞれのうつわに合わせた和菓子を仕立てました。会期中、その和菓子が温泉街のお店に順番に登場します。

会期の全体と会場を紹介する、長門湯本温泉まち株式会社 木村隼斗エリアマネージャー

木村エリアマネージャーからは、会期の全体と会場の紹介がありました。回を重ねるにつれて温泉街のお店との連携企画が増え、今年は温泉街全体で深川萩を楽しめる場になったこと、旅館のスタッフも夏の間に窯元を訪ねて学び、その内容を会場で伝えていることにもふれました。一方隅氏を招いた特別企画、温泉街のお店による連携企画、公式クッキー缶など、会期中の楽しみ方もあわせて紹介されました。恩湯では、うつわの秋とあわせて湯道展もひらかれます。

まちの番台の前に並ぶ、うつわの秋2026 オープニングセレモニーの出席者

最後に、メイン会場のまちの番台の前で記念撮影をしました。

開会式を終え、温泉街の5つの会場で展示がはじまりました。

1.まちの番台(メイン会場)

今年から、メイン会場は恩湯からまちの番台に移りました。長門湯本温泉の玄関口として、まちを訪れる方を最初に迎える場所です。会期中は深川萩5窯8作家の作品を一堂に展示しています。

2.おとずれ堂

竹林の階段横に佇む古民家ギャラリーでは、茶陶やオブジェなど、作家性の強い作品を展示しています。

3.cafe&pottery音

音信川沿いのカフェギャラリーでは、カップやお皿など、日々の暮らしに取り入れやすい作品を展示・販売しています。会期を通じて、作家が手がけた茶碗と一方隅氏の特製和菓子もお楽しみいただけます。

4.大谷山荘

2階のお土産処「山茶花」内のギャラリーで、深川萩作家の酒器を展示しています。

5.玉仙閣

開放的なロビー空間で、田原崇雄氏によるTシリーズを特別展示しています。

秋が深まるにつれて、温泉街の景色も少しずつ変わっていきます。うつわの秋は11月3日(火)まで。

うつわの秋について

萩焼と温泉街の歴史
山口県長門市深川湯本には、約370年の歴史をもつ萩焼の窯元集落「三ノ瀬」があります。萩焼は16世紀末、毛利輝元公が朝鮮陶工を招いたことに始まり、茶道の世界で「一楽・二萩・三唐津」と称されるほど古くから愛されてきました。隣り合う長門湯本温泉も600年の歴史を誇りますが、長い歴史を持ちながらも、萩焼と温泉が一緒に何かをつくり上げる機会は、これまでほとんどありませんでした。

その転機となったのが2016年の温泉街マスタープランです。「文化体験」を温泉街の核に据える構想の中で、深川萩が地域を代表する文化として位置づけられました。旅館と窯元の若い世代が歩み寄り、ギャラリーカフェの運営を通じて対話と信頼を育み始めたのです。

「うつわの秋」のはじまり
2020年、新型コロナ禍で旅館も作家も活動の場を失った時期に、萩焼作家から「温泉街で萩焼を見てもらう機会を」との声が上がりました。これをきっかけに誕生したのが「うつわの秋」です。深川萩の全ての窯元と作家が一堂に会し、温泉街の中心・恩湯休憩室で展示を行うという、歴史上初めての試みでした。

「うつわの秋」は単なる展示会ではありません。旅人はカフェや宿で萩焼に触れ、やがて窯元を訪ねる。地域の人は日常に器を取り入れながら、お気に入りを探す。旅館スタッフも作家から学び、その経験を日々のおもてなしに生かしています。器を通じて、旅人・暮らす人・働く人が交わり、日常と旅が自然に結びつき、この場所ならではの体験が育まれていきます。

未来へつなぐ文化体験

かつて茶道が生活に根付いていた時代、人々は器を通じて文化に親しみました。現代ではその習慣は薄れましたが、代わりに「どんな人が、どんな場所でつくられたものか」に価値を見出す人が増えています。温泉地もまた、画一的な非日常ではなく、その土地ならではの文化体験を求める旅人が増えています。「うつわの秋」は、そうした新しい旅のかたちに応える営みでもあります。

伝統をただ守るのではなく、時代に合わせて表現を創造し続けること。その営みのひとつの姿が「うつわの秋」です。器を手にとり、触れ、使う。その体験が地域の文化を未来へとつなぎ、長門湯本温泉の秋を彩っていきます。