「うつわの秋2026」喫茶会「茶菓一服」の参加レポートが公開されました

白い布の上に置かれた、お抹茶の入った灰褐色の深川萩の茶碗

長門湯本温泉の公式HPで、「うつわの秋2026 〜茶菓一服〜」の喫茶会に参加した土田由里さんのレポートが公開されました。

喫茶会「茶菓一服」は、10月17日・18日に恩湯広場でひらいた催しです。深川萩の作家の茶碗でお茶をいただきながら、作り手から直接お話を伺いました。土田さんが参加した会には、十六代坂倉新兵衛氏が同席しました。

参加者8名それぞれの茶碗を手に取って、重さや手ざわりを比べる。2服目には、深川萩の5窯8作家の茶碗が並ぶ。和菓子作家 一方隅冴氏による和菓子のデモンストレーションも行われました。

長門湯本に移り住んで1年半の書き手が、喫茶会や、暮らしに少しずつ加わっていく深川萩のうつわを通して、茶陶の世界が身近になっていく様子を綴っています。ぜひご覧ください。

「うつわの秋2026 〜茶菓一服〜」は、11月3日(火)まで開催しています。会場や関連企画は、うつわの秋2026 公式ページをご覧ください。

うつわの秋について

萩焼と温泉街の歴史
山口県長門市深川湯本には、約370年の歴史をもつ萩焼の窯元集落「三ノ瀬」があります。萩焼は16世紀末、毛利輝元公が朝鮮陶工を招いたことに始まり、茶道の世界で「一楽・二萩・三唐津」と称されるほど古くから愛されてきました。隣り合う長門湯本温泉も600年の歴史を誇りますが、長い歴史を持ちながらも、萩焼と温泉が一緒に何かをつくり上げる機会は、これまでほとんどありませんでした。

その転機となったのが2016年の温泉街マスタープランです。「文化体験」を温泉街の核に据える構想の中で、深川萩が地域を代表する文化として位置づけられました。旅館と窯元の若い世代が歩み寄り、ギャラリーカフェの運営を通じて対話と信頼を育み始めたのです。

「うつわの秋」のはじまり
2020年、新型コロナ禍で旅館も作家も活動の場を失った時期に、萩焼作家から「温泉街で萩焼を見てもらう機会を」との声が上がりました。これをきっかけに誕生したのが「うつわの秋」です。深川萩の全ての窯元と作家が一堂に会し、温泉街の中心・恩湯休憩室で展示を行うという、歴史上初めての試みでした。

「うつわの秋」は単なる展示会ではありません。旅人はカフェや宿で萩焼に触れ、やがて窯元を訪ねる。地域の人は日常に器を取り入れながら、お気に入りを探す。旅館スタッフも作家から学び、その経験を日々のおもてなしに生かしています。器を通じて、旅人・暮らす人・働く人が交わり、日常と旅が自然に結びつき、この場所ならではの体験が育まれていきます。

未来へつなぐ文化体験

かつて茶道が生活に根付いていた時代、人々は器を通じて文化に親しみました。現代ではその習慣は薄れましたが、代わりに「どんな人が、どんな場所でつくられたものか」に価値を見出す人が増えています。温泉地もまた、画一的な非日常ではなく、その土地ならではの文化体験を求める旅人が増えています。「うつわの秋」は、そうした新しい旅のかたちに応える営みでもあります。

伝統をただ守るのではなく、時代に合わせて表現を創造し続けること。その営みのひとつの姿が「うつわの秋」です。器を手にとり、触れ、使う。その体験が地域の文化を未来へとつなぎ、長門湯本温泉の秋を彩っていきます。